2007-01-01から1年間の記事一覧

歌仙「アンモナイトのため息」の巻

アンモナイトのため息 胸坂や秋のいくつもわだかまる(那智) ふいにとぎれるカナカナの声(文乃) 遠鼓ちちぽぽと鳴る望月に(蓼艸) 古武術活かす走法を練る(千年) おだてれば象も空飛ぶ世なりけり(蕩人) ポケットの無い夏のエプロン(舞) ウ 凛とし…

歌仙「バグダッド時刻」の巻

バグダッド時刻 啓蟄や人鉄棒にぶらさがる(千年) 空紺碧に匂ふ紅梅(蓼艸) 逃水を追ひて国境超ゆらむか(文乃) バックパックに詰めるクッキー(舞) 大盃は金繕の二日月(那智) 若書きなのに旅路の秋と(蕩人) ウ 蓮の実を飛ばししじまを深めたり(文…

歌仙「指の先にも魂」の巻

指の先にも魂 某日冬くらくらと血の奔りたる(那智) 金鵄勲章値切る襤褸市(蓼艸) 哲人の狭き門より表れて(舞) 甦りたる川の清流(千年) 寝ころびて博物誌読む月明り(雅子) 男いま乗れ霧の天馬に(冬人) ウ 雁渡る頃なり姉の嫁ぎしは(蓼) 香しくま…

半歌仙「懐手して阿吽」

懐手して阿吽 せせらぎや鳥獣戯画の麻のれん 千年 白雨くるぞと子ども等の声 文乃 ゲラ刷りに汗滲ませて赤入れて 美世子 路面電車の止まる駅前 つる路 風呂帰り月どこまでもついてくる 紋女 手折りてかざす桔梗コスモス あの子 ウ 色鳥の木の葉のごとく飛び…

爛柯編集部ー五山から和歌体

*義堂、絶海に導かれ 義堂と絶海。ふるさとの偉人、五山文学の双璧、連歌の二条良基とも交流・・・こんな知識へ少し中身が吹き込めるかと、足利義満六百年御忌記念「京都五山禅の文化」展(東京国立博物館・平成館)へ。全くたまげた。ここまで義堂周信と絶…

半歌仙「二兆円」の巻

久しく参加していなかった「ああノ会」に、この6月からふたたび出ている。といっても、いつもみなさんのあとからついていく感じ。もともとそうだったから、出ていなかった分の何かを取り戻すというわけでもないのだが、時間のブランクは確かにある。 千年さ…

半歌仙「天声か人語」

天声か人語 三吟九月場所千秋楽を父母とかな 千年 糸瓜の水は六分目まで 文乃 ものの音の澄めばやすらぐカルデラ湖 那智 有明となり好きな所へ 千 何を問ふ角を切らるる鹿の眼は 文 垣に寄りつつ人に依りつつ 那 ゥ 夕焼けて都庁労働委員会 千 インターナシ…

栗山理一の一巻としての連句観 

芭蕉会議の谷地先生の御示唆で、栗山理一「芭蕉の芸術観」(永田書房)を読んだ。その中に連句一巻をどのように評価、解釈すればいいかの非常に示唆に富む文章があったので記す。古典との対比のなかで自説を展開するこの本は今年の収穫の一冊だ。(千年)「…

歌仙「法然忌」の巻

都心連句会主宰の土屋実郎宗匠、湘南吟社主宰の小林靜司宗匠にお出でいただき、昨年4月に巻いた歌仙を掲載します。捌きを御願いした小林宗匠には、自、他、場、自他半(半)の区別まで後日確認させていただきました。後学のために名前の後に記入します。本…

村野夏生宗匠追悼連句会(平成十七年十月二十二日(土))

歌仙『山のくじらと海のいのしし』の巻 坂手手留捌 木犀のこぼれ落ちたる寂光土 市川千年 たまゆらの声雁去りし闇 川野蓼艸 同時代走りつづけて水澄みし 篠見那智 上り框に団扇捨ておく 小池 舞 月昇るアヴァンギャルドを朱に染めて 瀬間文乃 あり余りたる知…

脳科学者の示唆

中央公論8月号に、脳科学者の茂木健一郎氏が「新森の生活 多様性を科学する」8回で「見る」という題のエッセイを掲載している。その冒頭、「私たちの経験は、時間と空間の中で秩序づけられている。そして、「時間」と比較した時、「空間」の持つ最も顕著な…

爛柯編集部

約1年ぶりの書き込み。連衆の瀬間文乃(信子)さんが「団塊世代のための人生整理帳」(河出書房新社)を出版されたり、講談師の田辺つる路さんが仲間に加わったり、私の方は今年から、東洋大学の谷地快一先生が主宰する「芭蕉会議」に入会したり。ああノ会…