半歌仙「石の雛」

よりそひてせせらぎ飾る石の雛 千年 風穏やかに現れし蝶々 眞路 書道家に山葵料理をふるまはれ 千年 初対面とて交はす挨拶 眞路 月天心寝台列車北上す 千年 本家を先に晩稲刈りする 眞路 ウ 山の子の囮巧みにしかけたる 千年 ブルカの奥の熱きまなざし 眞路 …

コズミックから

「コズミックなの」を巻いた直後、急転直下高知に帰郷。5カ月目。ちょうど「龍馬伝」が始まるなかでのUターン(ふるさと雇用事業・(財)高知県観光コンベンション協会臨時職員)でした。佐川駅から高知駅まで汽車で通っています。佐川は江戸時代から俳諧…

半歌仙「コズミックなの」の巻

高千穂の雲切れにけり暮の秋 千年 月呼びたるか発鴨の声 文乃 そぞろ寒ロングスカーフ引き上げて 青玉 むいては母と分けて食ふ柿 あすか 飽きもせず扉あけんと挑む猫 しづ 海の向こうで変る政権 文乃 ウ 出会ひとは味なものだね夏の風 青玉 夕顔の前扇差し出…

野ざらし紀行

野ざらし紀行から見えてくる芭蕉像を探り、野ざらし紀行が蕉風俳諧の源泉といわれる所以を、谷地快一先生の指導のもと、確かめてみました。(千年) 芭蕉初めての紀行文である「野ざらし紀行」(貞享元年八月〜貞 享二年四月)の解釈を通して形成されてきた…

胡蝶「獏と始祖鳥」の巻       川野蓼艸捌

胸に春獏と始祖鳥飼ひならし 篠見那智 清明の豹 鞭調教師 川野蓼艸 高空へ稚児百合の束投げ上げて 瀬間文乃 童心こめて歌ふ童謡 市川千年 月の役王様の役割り振って 金盛しづ 落ちた木の実を壷に蓄はへ 森あすか ナ 源流の社を鮭の遡る 千年 声を聞いたら逢…

仮説的推論 構成的 連句理論!?

「サステナビリティ学連携研究機構(IR3S)」(文部科学省科学技術振興調整費「戦略的研究拠点育成」プロジェクト)という大学の世界を活性化させるnetwork of networksがあるそうです。 東京大学、京都大学、大阪大学、北海道大学、茨城大学の参加5大学と…

アヌカンパー ああノ会1月例会

昨日、ああノ会1月例会開催。森あすかさんという若い新人も登場し6人で楽しく歌仙を巻いた。 あすかさんは今回は見学ということだったが、そこはそれ会話のなかから連衆が句を作り、あすかさんの句としようとしたら、「それは千年さんの句にしてください。…

芭蕉会議・白山連句興行中

芭蕉会議の世話人・安居正浩さんの「酢豚定食おとなしく待つ無月かな」が1月18日のNHK俳壇で正木ゆう子氏に紹介され、それを発句として、谷地海紅先生の脇「一輪挿しに萩の一枝」に私が「愛の羽根つけた武将の現れて」と第三・・・となると巻かずにはおられ…

半歌仙「臘梅の黄」の巻

臘梅の黄に始まりし朝かな 千年 冬眠の熊鼻鳴らしたる 文乃 言の葉の大海原にたゆたふて しづ マラソンランナー越ゆる急坂 青玉 しなやかにさす新走り月明に 那智 案山子の貌に笑みのこぼるる あのこ ウ 零余子飯白寿の母のめでたかり 青 脛(はぎ)美しき少…

芭蕉会議 白山連句会

現在、白山連句会で興行中です。千年

中谷先生を偲ぶ会

写真は、平成8年9月7日、埼玉県飯能市・竹寺で催された「中谷先生を偲ぶ会」(主催・鈴の会(新学社内))でのひとコマ。中谷孝雄先生が亡くなられて一年(9月7日没)。当時「鈴」(発行人・伊藤桂一)にああノ会の連句を一巻掲載していた縁で、夏生さんに…

中谷孝雄

短歌行「鷹放つ」の巻

ニッポニアニッポン鳴らせ爽籟を 文乃 能舞台より眺む新月 しづ 長き夜の枕に言葉降りつもる 那智 木の香まとはる山の生活 千年 ウ 雨粒の少し残りし金蓮花 青玉 曇り硝子に指で書くDEATH 文 背鰭もてつらぬき通す初一念 那 思ひあまりて鷹放つ時 し ついと…

歌仙「篝火の濁り」の巻     川野蓼艸捌 

離れ鵜の眼に篝火の濁りかな 篠見那智 つのる漆黒梅雨寒の中 川野蓼艸 噴井ゆけ蒼天を抜く決意もて 瀬間文乃 高く私の紙のヒコーキ 市川千年 砂丘にて駱駝の上の「月の歌」 金盛しづ 秋の夜長に冷酒を飲み 竹林舎青玉 ウ 竜胆に風立ち我はワンピース 阿武あ…

「村野夏生の事」  川野蓼艸

風信子が解散になって村野夏生がああノ会を立ち上げたのはもう何時だったのか。詩人であり、歌人であり、童話作家であり、近代美術評論家でもあった彼が何時の頃からか体調が万全ではなくなっていった。 階段を上がる後姿がぎこちなかったり、発言がはっきり…

川野蓼艸師 アカデミーヒルズで講演

7月4日、午後7時過ぎより、ああノ会の阿武あのこ(秀子)さんがスピーカーを務めるアカデミーヒルズ 六本木ライブラリー「ライブラリートーク」(六本木ヒルズ49階)で、同会代表・川野蓼艸師が「和歌から連句へー日本文化の五音七音のリズムの行方」と題…

半歌仙「五月雨に鳰」

マロニエの花揺れてゐるらいてう忌 青玉 青梅籠に盛つて捧げん 文乃 五月雨に鳰の浮巣も流されて しづ 飛べると思ひ跳んでみた人 千年 あこがれの玉兎に付けし足の跡 し 隣家と供に庭木刈る朝 青 ウ 初潮に夢をうかべて眠りたり 文 女学生らの声の冴えゆく …

爛柯編集部ー焼畑

「『おくの細道』時空間の夢」堀切実(角川学芸出版 平成20年5月10日発行)の第一部『おくの細道』と日本文化論の四「うかれ人、まれ人の系譜」に「・・そして、芭蕉の遍歴志向は、単にその遊動する旅の生涯そのものにおいてあらわれているだけでなく、次か…

半歌仙 海鼠と月

春陰や太極拳の浮き始む 千年 角を曲れば満天星の花 文乃 巣立鳥産毛は風に遊ばれて 青玉 今日一日は読書三昧 しづ 大鏡かかげて月を迎え入れ 文 冷ややかな刃をあてる顎鬚 あのこ ウ 外つ国のもろこしの値の上がるらん 千 エコがエゴへと変わる世界よ 文 萍…

芭蕉会議1年  

連句の実作と認識のために、「芭蕉会議」で爛柯状態になってしまった1年余り。 芭蕉会議主宰の谷地快一先生の「ブログ」と併せ、連句の未来の土台のための、未来の風に吹かれるための対話に参加しているようで、本当に有難く、またおもしろい。(千年)

歌仙「氷山の崩壊」の巻   川野蓼艸捌

寒風や気づけば我も怒涛なる 篠見那智(三冬自) プラットフォームに満つる歳晩 瀬間文乃(仲冬/) 白鳥の一点となり消え果てて 川野蓼艸(晩冬/) 思索の末の行きつ戻りつ 志治美世子(自) 月見酒動かぬままの古時計 市川千年(三秋自) 菊枕して過ごす…

「日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか」内山節(講談社現代新書)より

「村人たちは自分たちの歴史のなかに、知性によってとらえられた歴史があり、身体によって受け継がれてきた歴史があり、生命によって引き継がれてきた歴史があることを感じながら暮らしてきたのである。日本の伝統社会においては、個人とはこの三つの歴史の…

半歌仙「古代人の虫歯」の巻 

東海道辿りて灼けし鼻の先(浩司) 水に汗かく河馬と対面(夏生) 幼年期地球に似たる火星とは(信子) 角まで行ってジャンケンポン(木々) 待ったなし三十代はあとわずか(三津子) 職辞したれば自由なる月(ハイハイ) ウ 柿色の朝顔の名は団十郎(三) …

言語技術とサッカー

「「言語技術」が日本のサッカーを変える」田嶋幸三(光文社新書)にも連句を発見。以下文中より。 指導者のライセンス取得のために、ことばを鍛えるトレーニングを受けた都並敏史氏のコメント「重要なのは、濃く話すこと。そうやってコミュニケーションの土…

歌仙「私といふ交流電燈」の巻

「私といふ交流電燈」望月夜(信子) 誰のものでもない虫が鳴く(千年) 赤い羽根行く手行く手に咲き出でて(紋女) メインストリートピザ宅配便(あのこ) 冗長なパッサカリアと暖房と(蓼艸) 鯨の心臓かすか光りて(夏生) ウ 何者か海から来たる足の跡(…

爆笑問題と中沢新一

「憲法九条を世界遺産に」太田光・中沢新一(集英社新書 2006年刊)を社長が貸してくれたので読んだ。「憲法九条」「世界遺産」爆笑問題の「太田光」「中沢新一」と、まるで連句の付け合いのような並びに、2週間くらいほっぽらかしていたが、読み出すと一気…

「師 田辺一鶴」  竹林舎青玉

師匠田辺一鶴は御年78歳、講談界一の長老となった。 「生きるが勝ち」と師匠はいう。 来2008年4月で講釈師生活55年になるそうだ。 子供の頃から強い吃音で、治せるものならと25歳の頃に 12代田辺南鶴が主催する素人向け講談学校という教室で 軍談修…

歌仙「重陽にパパン」  川野蓼艸捌

野分浪洗ひざらしの月掲ぐ 篠見那智(仲秋/) そよぎにそよぐ秋の七草 川野蓼艸(三秋/) 重陽にパパンと扇響かせて 市川千年(晩秋他) 真打となる時もよろしく 竹林舎青玉(自) 新しき衛星宙を疾走す 瀬間文乃(/) 置き忘れたる薄羽蜉蝣 小池舞(晩夏他…

「夢は高野を」  瀬間文乃

夏、高野山へ3度目の旅をした。 ケーブルカーで山頂へ運ばれ、そこから今度はバス専用の道路を下ってたどりつく、空海がひらいた真言密教の聖地である。 今回も、よくもまあこんな格好の土地を見つけたものだと感心する。超掘り出し物件。八つの峰にぐるり…

百韻首尾「破れジーンズ」の巻   村野夏生捌

初夏の風網戸を抜けて心太(木々) 羽化する蝉の背に光るもの(信子) 十万枚目の日灼け少年の髪ながれ(夏生) 破れジーンズ洗ふ昼過ぎ(三津子) 国境を羊と雲と共に越え(夏) ワイングラスに受ける満月(信) 鳳仙花世界まるごとモニターの中(木) あっ…