2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧

「夢は高野を」  瀬間文乃

夏、高野山へ3度目の旅をした。 ケーブルカーで山頂へ運ばれ、そこから今度はバス専用の道路を下ってたどりつく、空海がひらいた真言密教の聖地である。 今回も、よくもまあこんな格好の土地を見つけたものだと感心する。超掘り出し物件。八つの峰にぐるり…

百韻首尾「破れジーンズ」の巻   村野夏生捌

初夏の風網戸を抜けて心太(木々) 羽化する蝉の背に光るもの(信子) 十万枚目の日灼け少年の髪ながれ(夏生) 破れジーンズ洗ふ昼過ぎ(三津子) 国境を羊と雲と共に越え(夏) ワイングラスに受ける満月(信) 鳳仙花世界まるごとモニターの中(木) あっ…

歌仙「マンホールより夏帽子」  市川千年捌

村を出で冬野に行方不明かな(那智) 鯨の群れのよぎる街道(千年) 綿虫の胸のうちより舞ひ降りて(文乃) 高々あがる起重機の先(青玉) 月面で地球の入りを待ってゐる(文) 草の蔓を引けば実の散る(那) ウ ひと肌の恋しき頃よ衣被(青) ボジョレーヌ…