胡蝶「獏と始祖鳥」の巻 川野蓼艸捌
胸に春獏と始祖鳥飼ひならし 篠見那智
清明の豹 鞭調教師 川野蓼艸
高空へ稚児百合の束投げ上げて 瀬間文乃
童心こめて歌ふ童謡 市川千年
月の役王様の役割り振って 金盛しづ
落ちた木の実を壷に蓄はへ 森あすか
ナ
源流の社を鮭の遡る 千年
声を聞いたら逢ひたくもなる あすか
金環の緋の砕け散り別れけり 文乃
口に含んだ火(ウオ)酒(ッカ)吹きかけ 文乃
黄泉の国避け水晶の入射角 千年
里帰りした寺の仏像 しづ
蚊帳を出で廊より見やる須磨の月 しづ
金曜夜はニンニクの日ぞ 千年
世紀末革命の旗林立す 文乃
血液型を尋ねあふ恋 文乃
コンパスを使ひDNAを描く 千年
さめざめと泣く雪女 夢 蓼艸
ウ
ストーヴに煮豆の鍋の語るなり しづ
心拍数は高め疾走 千年
遠ざかる背中に重き落し角 文乃
今朝の香りのうららうららと あすか
無残やな昨夜の雨と花の果て あすか
友を誘ひて行かむ野遊び しづ
平成二十一年四月十八日(土) 於・西荻「遊空間」
写真はしづさんと恋人の芭蕉さん。編集不足で右肩に入ってしまった。(千年)