仮説的推論 構成的 連句理論!?

サステナビリティ学連携研究機構(IR3S)」(文部科学省科学技術振興調整費「戦略的研究拠点育成」プロジェクト)という大学の世界を活性化させるnetwork of networksがあるそうです。
東京大学京都大学大阪大学北海道大学茨城大学の参加5大学と、東洋大学、国立環境研究所、東北大学千葉大学早稲田大学立命館大学の協力6機関が連携して、サステナビリティ学(持続可能な地球・社会・人間システム学)分野における世界トップクラスのネットワーク型研究拠点の構築を目指しているそうです。
早稲田大学は「政治的意思決定とジャーナリズム」、立命館大学は「調和社会構築への戦略的イノベーション」、東洋大学は「共生の哲学」、千葉大学は「食と健康」がIR3Sでの課題。
そのIR3Sの雑誌「サステナ」2009年第10号(フリーペーパー)に吉川弘之・元日本学術会議会長の連句に通じる談話が掲載されているのでご紹介。

吉川氏は、アメリカの物理学出身の科学哲学者チャールス・サンダース・パースの研究を紹介し、「・・・リンゴがおいしいという前提があって、リンゴが示されたときに、おいしいと答えるのが演繹です。それに対して、何かおいしいものがあると言われたときに、それはリンゴであるかもしれないと考えるのがアブダクション(仮説的推論)です。おいしいということから推定したら、リンゴでなくてもいいので、それは間違った結果を出すこともあります。だから正しい論理学にはなりません。・・・パースはある意味で失敗しました。・・ただし、アブダクションというものが存在することは明らかにしたのです。私はパースに出会い、設計者の行動はまさにアブダクションで、その論理はシンセティック(構成的)だと考えるようになりました。・・・」

「仮説的推論」は「連句の付け」のあえていえば科学的言い換えといえるのではないでしょうか。式目、歌仙等の形式は構成的(シンセティック)。連句の実作も含め新たな連句認識を大正から昭和にかけて開陳された物理学者寺田寅彦はきっとこのパースの「仮説的推論」を既にわかっていたのではと思ったので書いてみました。仮説的推論からモンタージュ連句は無限に広がる・・・千変万化!
今日、東大安田講堂で行われた、「地球温暖化問題 議論から行動へ〜低炭素社会の実現に向けて〜」主催・東京大学IR3S、協賛・日本経済新聞社の取材仕事で上記の言葉に出会いました。初めて安田講堂に入りましたが、出席者1000名の満杯状態でした。(千年)