ああノ会作品、爛柯編集部

十干行「リザベーション」の巻

萩ゆらぎ南無芋虫の胎蔵界       夏生
 ゆるりと語る月の座の客         浩司
薄絹の身に沁みてゆく秋の声       信子
 甕のなかにはかなしみを貯め       夏

黒潮のふくらみふくらみ南風(はえ)孕み  浩
 裸足の脚に跳ねる銀鱗           信
どこまでも難民テント地をはって       夏
 枯れ放題のオゾン層など          浩
やはらかき花の褥をリザベーション     信
 恢復期には春の白粥             夏

(夏生捌 平成八年九月三十日首尾 於東京中野 珈琲屋)(「爛柯」一号)