言語技術とサッカー

「「言語技術」が日本のサッカーを変える」田嶋幸三光文社新書)にも連句を発見。以下文中より。
指導者のライセンス取得のために、ことばを鍛えるトレーニングを受けた都並敏史氏のコメント「重要なのは、濃く話すこと。そうやってコミュニケーションの土台ができていったんだと思うんです。上辺だけの話をしていたら、相手なんか理解できないですよ。ラモスさんにグサグサ言われて叩きのめされて、・・・だんだん自信がついてくると、反論もできるようになってくる。そうやって、1人1人の人間関係が濃くなっていったんです」「コミュニケーションとは「ことば」の問題だけでなくて、動作もあれば、声の大きさ、立ち位置、着ているものまで、すべてを含んでいるよ、ということ。そのことをしっかり確認できた。」「監督に必要なのは、人間理解ですね。技術、戦術以上に、人間がわかるかどうか。サッカーをやるのは人間ですから。」
また、外国人監督のキーワードとして、日本サッカーの父クラマーさんは「パス&ゴー」「ミート・ザ・ボール」「ルックアラウンド」を残した。日本人に向かって、口を酸っぱくして、何度も繰り返し強調したそうだ。オフトは「トライアングル」「アイコンタクト」、トルシエは「ウェーブ」(視野を確保し、スペースを確保し、判断のための時間を確保する)「コンパクトネス」(縦方向、横方向まとまりをもって動くこと)「オートマチック」(必要なことは習慣化し、無意識にできるようにする)。ジーコは型を教えたが、基本的には、その時、その時の選手の判断を尊重するやり方。
オシムは「論理的に言うと」というフレーズが2時間で10回以上でてくる。また、よく使う言葉に「ポリバレント」がある。化学用語で「多価の」「多原子価の」という意味で、「転じて複数の価値を持つことを示しますが、オシムは1人の選手が複数のポジションや、状況に応じて異なる役割をこなすことを意図しているようです」

田嶋氏は「日本には「什の掟」(ならぬことはならぬ)以外にも、たとえば「歳時記」や「年中行事」がある。日本人は自然環境の移ろいを、文化として多感に受け取ることに優れています。微細な感覚を感じとり、感じ分けていくセンスに長けています。そうした豊かな感覚的センサーは、きっとサッカーにもプラスに働くのではないでしょうか」と説く。
また、「1本のパスについて考えてみても、答えはひとつではありません。」「「ことばの力」とは、先人たちが残してくれた素晴らしいことばの数々に触れ、そのことばを土台にして、自分自身のことばを紡いでいく中から生まれてくるものです」とも書いています。
さらに、表千家の師匠がワールドカップをテレビで初めて見て、「茶道と共通点がある」と指摘し、「大寄せの茶会」で「誰がどのように茶を運んで、客がどういう状態にあるのか、全体を見ながら目配せをし、気配を察してすばやく複数の人が連携しながら動き、客をもてなすスタイルは、まさしくサッカーチームの連携やアイコンタクトと同じだと、語ったそうです」
田嶋氏は日本サッカー協会専務理事(南浦和高校サッカー部主将)、ドイツでコーチライセンスを取得している。
利休の茶における、ACミランのサッカーにおける・・・Jリーガーが連句の座にも蹴りを入れてくる日も近いか・・・「ボールは丸い」ペレ