六月十八日、浅草寺境内「伝法院」大書院で興行された、第十八回青時雨忌追善正式俳諧に出席。

土屋実郎氏、小林靜司氏よりご案内を頂き、正式俳諧を初めて体験できた。
青時雨忌追善正式俳諧は、昭和の俳諧師・清水瓢左を偲び都心連句会 湘南吟社が毎年伝法院で催している。清水瓢左は明治三十一(1898)年、長野県松代生まれ。松濤軒柳斎に連句を学び、その没後、根津芦上門。昭和六十三(1988)年五月二十五日没。九十歳。松濤軒三世、抱虚庵六世。その伝記がこのほど完成。別所真紀子著、土屋実郎・小林靜司監修「古松新濤 昭和の俳諧師 清水瓢左伝」。発行・都心連句会 湘南吟社。発売・東京文献センター(電話03−3364−3856)。
宗匠の小林靜司氏は当日の挨拶の中でこのことに触れ、「昭和の俳諧の苦難の歴史」がこの伝記に書かれていると静かに述べられ、著者の別所氏に深く謝意を表した。

なお、土屋氏の名刺の裏には「抱虚庵系譜 初世 橘田春湖ー二世 松永蝸堂ー三世 根津芦丈ー四世 野溝飛水ー五世 富島菱舟ー六世 清水瓢左ー七世 大林杣平ー八世 土屋実郎」とある。
小林氏の名刺の裏には「俳諧之伝道 芭蕉 北枝 希因 闌更 象麿公(松代藩主) 立左(松濤軒 初世) 篤石 柳斎(松濤軒 三世) 瓢左(松濤軒 三世) 則子(松濤軒 四世) 靜司(松濤軒 五世)」とある。面授の歴史、まさに俳諧の伝道。

さて、青時雨忌式次第は次のとおり。
一、法要 導師関口真流 (日本橋大観音寺)
二、正式俳諧 席入・配硯(はいけん) 供華 文台捌き 付合 献香 端作り 吟声 文台返し 作品奉納 集硯

宗匠 小林靜司、脇宗匠 土屋実郎、知司 小林しげと、副知司 和田忠勝、執筆 鈴木良治、座配 坂田武彦、花司 秋山よう子、香元 和田ひろ子、配硯 西郷公貴、配硯 西郷潤也、声明 関口真流

瓢左伝供えて風の薫りけり 小林靜司
 小亀親亀泳ぎ寄る池    土屋実郎
夏場所の櫓太鼓の響ききて 和田忠勝
……と続く歌仙が奉納された。献香後の花の座は「上り来る太陽を待つ花大樹」靜司。
供華の花は紫陽花。三種類の色の紫陽花が浮かぶように活けられたのが印象に残った。
宗匠と脇宗匠との間に執筆が座をしめたことも少しびっくり。
正式俳諧終了後、約五十人の参加者が十席に分かれて、昼食(ビール、日本酒、せんべい、どらやき付)、連句実作会が行われた。
私のついた席は抱虚庵八世。式目(打越)に関する私の問に、「自、他、場、自他半以外にあしらい」という考え方を入れたらいいのではないかというお応えを頂いた。打越の句が自なのか他なのか、はたまた、自他半なのか場なのかわからない時の、付け合いの流れを滞らせないためのいい認識方法だと思った。午前十時に始まり午後四時前に終了した。都心連句会 湘南吟社の皆様本当に有難うございました。(千年)