半歌仙「臘梅の黄」の巻

臘梅の黄に始まりし朝かな    千年
 冬眠の熊鼻鳴らしたる       文乃
言の葉の大海原にたゆたふて    しづ
 マラソンランナー越ゆる急坂    青玉
しなやかにさす新走り月明に     那智
 案山子の貌に笑みのこぼるる   あのこ

零余子飯白寿の母のめでたかり    青
 脛(はぎ)美しき少女傍ら       那
恋文は鶴に折られし千羽まで      文
 殺し文句を発止とささやく       那
あの時もこの時も又記憶失せ      文
 ベビーマンモス甦る頃         千
夏の月厠の神を照らしたる       あ
 灰の相場を弾く商人          し
命終はドブロブニクを望みとす     那
 胡蝶の夢に我は埋もれて       あ
海市より吹きくる風は花吹雪      文
 のどかに響く青山の鐘         青


(千年捌 平成20年1月25日首尾 於西荻窪・遊空間)